ディズニーの魔法

Teng 2020/10/26 告発 コメント

ある年の夏休み初日、雲ひとつない青空の日のある日、初めて早朝の出勤だった私は、ディズニーランド行きのバス乗り場に並んでいました。今でこそ、JR舞浜駅がありますが、この時は、まだ東西線の浦安駅がディズニーランドの最寄り駅だったのです。そこからは、バスでの通勤となります。周りを見渡すと、夏休み初日ということもあり、大勢の家族連れで賑わっています。隣に並んでいるお父さんは、家族の荷物がたくさん入ったバッグを肩に掛け、額には大粒の汗をかき、お母さんが抱っこしている眠そうな小さなお子様を、うちわで仰いでいのが見え、聞こえてくる会話によると、どうやら他県から来ているよです。

時計を見ると、まだ7時過ぎ、この家族が家を出た時間は、きっと日が昇る前だったのでしょう。さらに奥の方に目をやると、幼稚園生ぐらいの女の子が、しわしわの紙を広げていて、よく見るとそれはディズニーランドのガイドマップでした。すでに端っこは、破れていてボロボロでしたが一向に構わない様子で、そこに載っている地図を指しお母さんと楽しそうに話をしています。

東京まで何度もガイドマップを開いては夢を膨らませていたのでしょう。そんな光景を目にして、期待に胸を膨らませて楽しそうに話す声を聞いたり見たりするのは、初めてでした。そうこうしているうちに私たちの乗るバスが到着しまし、これでもか!というほどたくさんの人が乗り込み、あっと言う間に車内はすし詰め状態に、いつもなら我先にと席に座る私でしたが、その日ばかりはそんなこともできません。

そして、少しでもお父さんやお母さんのような人たちに休んでもらおうと、バスの奥の方で立つことにしました。私の目の前の席には、先ほどのボロボロのガイドマップを持った女の子とお母さんが座っています。

車内のあちこちで子供たちが、これから向かうディズニーランドのことを、元気よく弾んだ声で話ししています。一方で、立っている大人たちは、窮屈な車内でどこかイライラが募っているようです。バスに揺られ、しばらくしてそろそろ着くかなと思った瞬間に、目の前に座っていた女の子が、椅子から立ち上がって叫びました。

『見て、シンデレラのお城だよ』

その声に、反応して皆が一斉に女の子が見ている窓の方を向き、そして次々に喜びの声が『本当だ、シンデレラ城だよ。やった、着いた。ディズニーランド、パパ見て』車内の雰囲気は一転し、まだディズニーランドについたわけでもなく、ただ、バスからかすかにシンデレラ城のてっぺんが見えただけで、それだけなのに、車内には楽しそうな声が飛び交い、子供たち、そしてイライラしていた大人たち、皆が笑顔になったのでまさに、ひとつの夢が叶った瞬間です。

パークの到着したバスは扉が開くと、ゲスト達は足取りも軽く、エントランスに消えていき、私の前に座っていたの女の子も、お母さんと手を繋ぎ、反対の手には、バスの中で何回も広げていたボロボロのガイドマップを握りしめ、嬉しそうにエントランスへ歩いて行くのが見えて、偶然にも、一緒のバスに乗ることによって来園されるゲストの方々が、ディズニーランドにを訪れる日のことを、こんなにも楽しみにして、そして足を運んで来ているのかが、よくわかりました。

『毎日が初演』

これはディズニーランドのキャストなって、最初に教わった言葉です。私たちにとっては毎日のことでも、ゲストにとっては初めての体験かもしれない、初舞台のあの新鮮さを忘れないように、という意味が心から理解できた、そんな瞬間でした。

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